環境負荷低減を目的としたコンクリートおよびコンクリート材料の開発に関する研究

武田 字浦

本論文は,環境負荷低減を目的としたコンクリートおよびコンクリート材料の開発に向け,実験的な研究を行ったものであり,以下の5章により構成されている.

第1章「緒論」では,世界,日本そして滋賀県での環境保全に対する取組みの中での本研究の位置付けを明確に示す.そして,今後の持続可能な開発を目標とした循環型社会の形成を実現するための一手段として,環境負荷低減を目的としたコンクリートおよびコンクリート材料の開発の有用性について述べる.

第2章「ヨシ植栽を目的としたポーラスコンクリートの適用」では,琵琶湖湖岸へのヨシの簡易な植栽手法の確立を目指し,琵琶湖湖岸にてポーラスコンクリート植栽基盤を用いたヨシの植栽実験の結果を示す.まず,ポーラスコンクリートの物性試験からヨシ植栽に適した配合を決定する.次に,実験室屋外でのヨシの植栽実験から,ヨシの生育状況を確認し,実環境下における琵琶湖湖岸へヨシの植栽を行い,5年間ヨシの生育調査を行った結果を示す.また,実環境下における検討では,ヨシ植栽の基盤として本研究で開発したポーラスコンクリートと一般的なヤシマットとの比較も行い,ポーラスコンクリート適用の優位性を明確に示す.

第3章「下水汚泥溶融スラグのコンクリート用骨材としての利用」では,下水汚泥溶融スラグを細骨材および粗骨材として適用したコンクリートの特性について述べる.まず,下水汚泥溶融スラグそのものの物理的性質の調査を行う.次に,下水汚泥溶融スラグを使用したモルタルおよびコンクリートのフレッシュ性状,強度・変形特性,凍結融解抵抗性および圧縮疲労特性について実験を行った結果を示す.これらの結果を踏まえ,下水汚泥溶融スラグを普通骨材の代替として用いる場合の留意点を示すとともに,下水汚泥溶融スラグを用いたコンクリートの利用価値を明確にする.

第4章「環境負荷低減のケース・スタディ」では,(1)ヨシ植栽基盤となるポーラスコンクリートと(2)下水汚泥溶融スラグを適用する場合の環境負荷低減の試算を行い,将来の環境負荷低減の効果を定量的に評価している.

第5章「結論」では,すべての研究成果を取りまとめ,本研究の結論とする.