高架道路橋を対象とした低周波地盤振動の遠距離伝播メカニズムの解明と振動遮断壁による防振対策に関する研究

中 谷 郁 夫 

高架道路橋を振動源とする特に低周波域の地盤環境振動の遠距離伝播現象を検討するために,実際に振動問題が発生した高架道路橋での現地計測を行い,大型車両が高架道路橋を走行する際に発生された振動が地盤を経由して遠距離まで伝播されていることを確認した.この現象を検討するため,重力場における相似則を用いた模型実験および2次元FEMによる数値シミュレーション解析を実施した.その結果,ア)高架道路橋の橋脚下部構造である杭が鉛直・水平2方向に同時挙動し,その際の振動が支持層に入射されて深い位置から発せられること,イ)この振動入力が支持層と表層との波動インピーダンス比により増幅され,1部の振動数成分が地盤の波動分散特性から減衰されずに遠距離まで伝播されることが解明された.

また,このような地盤振動問題における伝播経路対策に関して,EPS(Expanded Poly Styrene)とコンクリートとの新たな合成遮断壁の遮断効果について,実物大の合成遮断壁を実フィールドに埋設した.実験では,車両走行などで発生する振動を想定した加振実験を実施して,この合成遮断壁による振動低減効果を評価した.その結果,3Hz付近の低域の卓越振動数において,遮断壁背面からの距離4.5m〜10.5mに着目すると平均で4.5dB程度の低減効果を確認した.これらの検討より,合成遮断壁による振動低減効果の推定法として簡便な方法を考案して実験値と比較したところ,本評価法により実験値の定量的な推定が可能であることが判明した.

さらに,新たな遮断壁として,スクラップタイヤを用いた地中振動遮断壁について検討するために,原形のタイヤを用いた原形型遮断壁とタイヤを圧縮配置した圧縮型遮断壁について,実物大の遮断壁を実フィールドに埋設した.実際の振動源を想定した加振実験を実施して,この遮断壁による振動低減効果を観測した.その結果,3dB〜12dBの効果量を確認した.また,遮断壁による振動低減効果の評価に関して,波動透過理論による評価値にタイヤゴムのばね効果に関する検討を加えて実測値と比較した.この評価法により実測値をほぼ再現できたことから,提案の遮断壁による振動低減効果は,波動の透過効果とタイヤのばね効果の2つの効果の相互作用で評価できる知見を得た.