Recursive Filters and Positioning Algorithms of Hybrid Inertial Navigation Systems

熊谷 秀夫

本論文は複合型慣性航法装置(Hybrid Inertial Navigation System)による位置計測法についての研究を行ったものである。特に外部情報を観測値として総合的に位置計測精度を向上させるためのアルゴリズムを導出し、地上車両への応用と水中航走体への応用に関して、従来のフィルタリング技術と比較しながら、その優位性を示した。どちらの場合においても、理論的解析と実データを用いたシミュレーション結果を示している。

本論文は以下のように構成されている。

はじめに、本論文の記述の準備のためにストラップダウン型慣性航法装置の基本原理と構成される慣性センサ並びに、慣性演算として必要な初期値設定のためのアライメント方法・ナビゲーションアルゴリズム・GPSを使った標準的複合慣性航法アルゴリズムの概念について簡単な説明を行う。

次に本研究で扱った2種類の応用について、そのアルゴリズムと実験結果を詳細に示す。まず地上車両の場合は、外部情報してDGPS(Differential GPS)と車両速度を用いて位置計測精度を向上させるアルゴリズムを示す。車両速度の誤差源であるスケールファクタと慣性装置との逐次変動する取り付け誤差の推定方法と、二つの外部情報を同時に扱うアルゴリズムにより、状態推定フィルタの切り替えによる精度劣化を防止する方法について記述しそれらが効果的であることを示す。さらに水中航走体においては、航走体のスクリュウ速度を外部情報とし、それらに含まれる誤差の推定方法を考察する。海中においては車両速度と同様のスケールファクタ誤差の他に海中特有の海流等の影響があるため、潮流による慣性系への影響をモデル化し、さらに潮流の特徴を抽出することでそれらを推定する方法について記述し、本手法が効果的であることをシミュレーションにより示す。どちらの場合も非線形システムとなるため、拡張カルマンフィルタを用いて解決を図っている。

最後に、今後の課題として、車両の場合はこれらのシステムの低価格化のために安価な慣性センサを使用する場合のアルゴリズムの必要性、水中航走体の場合は初期データの精度向上のためのアルゴリズムの必要性について記述する。