交流電位差法による表面および内部欠陥検出法の開発に関する研究

李 年 慶

発電用ガスタービンの動・静翼や原子力・火力発電所の配管などのエネルギー機器および構造物の破損は,高温低サイクル疲労やクリープなどによる欠陥の発生・伝ぱによることが多い.欠陥の種類は大きく,表面欠陥と内部欠陥に分けられる.したがって,これらの欠陥を非破壊的かつ高精度で検出・評価することは,エネルギー機器および構造物に対する安全性保障に不可欠な技術課題である.本論文では,交流電位差法を用いた高精度の非破壊計測・評価技術を開発した.

本論文は5章から構成されている.第1章では,交流電位差法による欠陥検出および損傷評価法の現状と課題について述べた.第2章では,課題に対する本論文での研究の概要について示した.第3章では,4端子交流電位差計測システムによる試験を行い,複数き裂の本数および深さを検出できる手法を開発した.電位差比は周波数に対して直線関係で表示することができ,この直線の切片とこう配の周波数依存性から,複数き裂の本数と深さを決定できることが示された.さらに,調和動電磁場有限要素法解析を通じて,実験結果の妥当性を検証した.第4章では,4端子交流電位差法を用いて試料の表面と連結していない内部欠陥の位置, 大きさおよび深さの検出法の開発を行った.内部欠陥として設けた貫通円孔の位置は,4端子を走査したときに得られる電位差のプロファイルの対称位置として決定することができた.内部欠陥の大きさと深さは,500Hzと6000Hz,との電位差比の差および一定の電位差比となる周波数から決定することができた.また,有限要素法による調和動電磁場解析結果は実験結果と良好に符合し,実験結果の妥当性が検証された.第5章では,深い内部欠陥を電流供給端子と電位差計測端子を併用した2端子を用いた透過方式の交流電位差法を開発した.貫通円孔の位置は,2端子を一直線上に位置させ,同時に走査した際得られる電位差プロファイルの対称点の位置から決定することができた.貫通円孔の大きさは,同プロファイルの2つの最大電位差の幅から決定することができた.また,貫通円孔の深さは,1端子を固定し,1端子を走査することにより得られる電位差比のプロファイルを利用して決定することができた.結論では,本研究の内容を総括した.