リン除去型活性汚泥法における凝集剤添加の最適化に関する研究

見島 伊織

閉鎖性水域へ多量の栄養塩類が流入し,人為的富栄養化による水域汚濁が進行している。栄養塩の中でもリンは,藻類増殖の制限要因になることが多く,排水からのリン除去は富栄養化対策として効果的である。これまでに,種々のリン除去法が開発され普及している。その中でも,凝集剤添加活性汚泥法と生物脱リン(EBPR)法を組み合わせることが,安定性および経済性に優れたリン除去法であると考えられる。そこで本論文では,化学的なリン凝集と生物学的なリン摂取が混在する活性汚泥法(リン除去型活性汚泥法)の詳細なリン除去機構を検討し,凝集剤添加量を中心とする最適な運転条件を検討した。

第2章では,実処理施設を対象として調査を行い,リン除去の低下の要因,硝化および脱窒とリン除去の関係,凝集剤濃度とリン除去の関係について考察した。そして,リン除去型活性汚泥法への最適運転条件を決定するための課題を提起した。第3章では,塩化第2鉄溶液とリン酸塩溶液を用いた凝集実験から,pHおよび凝集剤添加モル比とリン除去の関係について検討した。それにより,下水中の溶解性リンが凝集して不溶化する機構の基礎的知見を得た。第4章では,凝集剤添加活性汚泥法の室内実験より,凝集剤添加量とリン除去効果,凝集剤の活性汚泥への蓄積について考察を行った。その結果,活性汚泥中における凝集剤の挙動特性を明らかにすることができた。第5章では,凝集剤添加活性汚泥法とEBPR法を併用した室内実験から,凝集剤がEBPR機構に与える影響について検討した。それにより,活性汚泥からのリンの放出および摂取速度と凝集剤添加量との関係を明らかにし,EBPR安定化のための凝集剤添加量を求めた。第6章では,第5章までの結果にもとづき,リンの凝集プロセスのモデル化を行い,凝集剤添加量とEBPRやSRTの関係について検討を行った。提案されたリン除去モデルを使用するとことによって,リン除去型活性汚泥法への最適な凝集剤添加量を算定することができた。