小規模生活排水処理施設における消毒・除菌プロセスの管理に関する研究

堀 尾 明 宏

生活排水処理の目的は,有機物質および病原リスクの低減にあり,消毒・除菌プロセスは後者を目的としたものである。生活排水処理システムの消毒には,主として塩素消毒法が用いられているが,有機塩素化合物の生成や放流先の生物相への影響等が懸念されている。下水道終末処理場や農業集落排水施設等の中大規模施設では,既に塩素代替法が導入され始めている。一方,小規模合併処理浄化槽では,維持管理性やコスト面から,主に固形の塩素消毒剤が用いられている。

本研究では,小規模生活排水処理施設の消毒・除菌プロセスの改善を目的に,塩素消毒法の管理および代替消毒法について検討した。第1章では,小規模生活排水処理施設における消毒の重要性と現状について論じ,また塩素代替法について概括した。第2章では,浄化槽における塩素消毒効果の評価を行い,問題点改善のための提案を行った。調査したほとんどの浄化槽で消毒剤は残存し,放流水に残留塩素が検出された。しかし,その約3割では大腸菌群数が基準値を超えていた。その原因として,滞留時間の不足,処理水のNH4-NおよびNO2-Nなどの影響が考えられた。放流先への影響を軽減させるために塩素注入量の削減方法を検討し,結合型塩素の効果的な利用を提案した。第3章では,浄化槽処理水の紫外線による消毒効果を評価し,小規模施設においても十分な効果が得られることを示した。また,装置の構造および維持管理方法を検討し,色度および濁度が消毒効果に大きく影響を与えることを示した。第4章では,膜分離活性汚泥法における除菌効果と維持管理方法を検討した。膜分離による除菌効果は高いが,膜洗浄によって有機塩素化合物が高濃度に生成される。クロロホルムおよびジクロロアセトニトリルなどの膜洗浄による生成機構について検討した。

以上の結果から,小規模生活排水処理施設における消毒・除菌プロセスの管理に関する基礎的な課題が整理され,その改善に関する有益な知見が得られた。