直鎖長鎖状アルカン-α,ω-ジオールの結晶構造と結晶多形

宇野 健二朗

直鎖長鎖状アルカン-α,ω-ジオール(HO-(CH2)n-OH)のうち、炭素数が15から24の化合物について単結晶X線構造解析を行った。本研究室による過去の解析結果を含めると、炭素数10から24の一連の直鎖長鎖状アルカン-α,ω-ジオールの結晶構造が解析された。これらの化合物の結晶構造は、まず、炭素数の奇偶によって2つのグループに大別された。炭素数が奇数のグループでは、分子構造において一方の水酸基がゴーシュ配座となっており、その結晶構造では分子長軸が層面に対して垂直に配列した層構造を形成していた。一方、炭素数が偶数のグループでは、分子構造はオールトランス配座となり、分子長軸が層面に対して傾いた層構造を形成していた。炭素数が偶数のグループは、炭素鎖長に依存して単位格子とメチレン鎖部分のパッキング様式が異なるため、炭素数18と20の間を境界としてさらに2つのグループに分けられた。また、炭素数が16から24の偶数の化合物は、結晶作製条件に依存して結晶多形を示し、その結晶構造は炭素数が奇数のグループのものと類似した特長を持っていた。

直鎖長鎖状アルカン-α,ω-ジオールは水面上で自己組織化多分子膜を形成することから、Popovits-BiroらはGIDパターンから構造解析を行い、膜のモデル構造を提案した。このモデル構造と本研究により得られた結晶構造との比較により、提案されたモデル構造には改良の余地があることを示唆した。一方、多形を発現する炭素数と、融点下数度において認められる回転相を発現する炭素数とが一致しており、界面における結晶成長、計算密度、多形と回転相の構造という観点から、多形の構造は回転相の発現にとって有利であることが明らかになった。